「ウルトラマン」第23話「故郷は地球」

棲星怪獣 ジャミラ 登場
画像

佐々木守・実相寺昭雄コンビの傑作です。

国際平和会議へ向かう要人の乗る旅客機が次々撃墜された。
原因は不明。
パリ本部からアランが日本に派遣された。
妨害しようとしているのは果たして何者か。

その頃、老人と子供をひき殺した車が逃走。
国道1号線をひた走るその車は見えない壁に衝突。
パトカーの前で爆発炎上した。
事故現場に到着した科特隊の車も同じ目に遭ってしまった。
原因は「見えないロケット」だった。
出動したイデとフジは見えないロケットを発見。
マルス133で攻撃するが逃げられてしまう。

イデは徹夜で新兵器を開発。スペクトルα線・β線・γ線。
これを使って見えないロケットを見つけようというものだ。
この作戦は見事に成功し「見えないロケットが見えた!」
攻撃を受けて逃げ出すロケット。
ビートルの攻撃で被弾し、山中に墜落するロケット。
山中に捜索に入った科特隊は怪獣を発見。
「やっぱり、ジャミラ。」
アランはその怪獣を見てそう呟いた。
逃げ出す怪獣。一気呵成に攻撃する科特隊。

その夜、アランは真実を語った。

「諸君、あれは怪獣ではありません。
 あれは、いや彼は我々と同じ人間なのです。」

それは、アメリカ・ソ連を中心にした宇宙開発競争。
ある国の人間衛星が帰ってこなかった。
その宇宙飛行士の名が「ジャミラ」だったのだ。
科学のために人間を犠牲にしたことがわかると大変だ。
その国は人間衛星の失敗をひた隠しに隠してしていたのだ。
イデは完全に戦意喪失。自分を責める。

しかし、パリ本部の指令は非情だった。

「諸君、改めて科学特捜隊パリ本部からの命令を伝える。
 ジャミラの正体を明かすことなく秘密裏に葬り去れ。
 ジャミラを宇宙からやってきた一匹の怪獣として葬り去れ。
 それが、世界平和会議を成功させる唯一の道だ。」

イデのやり場のない怒りの叫びが木霊する。
「バッカヤローッ!」

翌日、ジャミラは山村を襲い、焼き尽くした。
鳩を助けるために戻った子供をハヤタが救出に向かう。

「くそ~。ジャミラてめえっ!
 人間らしい心はもう無くなっちまったのかよーっ!!」


その言葉に一瞬怯むジャミラ。
燃えさかる家々を見回すジャミラは何を思う・・・。

水が弱点であることがわかり人工降雨弾で攻撃されるジャミラ。
子供連れでもお構いなく変身するハヤタ。
降雨弾で弱ったジャミラとの戦いが始まった。

世界平和会議を妨害しようとする元地球人・ジャミラ。
そのジャミラを阻止するために立ち向かうM78星雲の宇宙人。
宇宙人が地球を守り、地球人が地球を破壊する。
逆説ともいえるこの設定も「佐々木・実相寺的」ですな。
ジャミラはウルトラ水流を浴びてもがき苦しむ。
そして、会場まであと一歩の所で力尽きた。

科学特捜隊はジャミラの墓碑を建立した。
   A Jamila 1960~1993
(この話の設定年代が1993年だとわかりますね)

人類の夢と科学の発展のために死んだ戦士の魂ここに眠る

「犠牲者はいつもそうだ。文句だけは美しいけれど・・・。」

イデの心の中にはなにか納得できないものがあった。
仲間の呼びかけに返事も出来なかったのだから。

ブログ気持玉

クリックして気持ちを伝えよう!

ログインしてクリックすれば、自分のブログへのリンクが付きます。

→ログインへ

なるほど(納得、参考になった、ヘー)
驚いた
面白い
ナイス
ガッツ(がんばれ!)
かわいい

気持玉数 : 5

なるほど(納得、参考になった、ヘー) なるほど(納得、参考になった、ヘー) なるほど(納得、参考になった、ヘー)
驚いた 驚いた

この記事へのコメント

2007年01月06日 16:23
この話は、名作ですよね。
正に佐々木守脚本の真骨頂!
最後の最後まで、妥協なく、ごまかしや偽善を排除した硬質のストーリーは、どんなに深いテーマで書いても最後にはふんわりとオブラートに包んでしまう金城哲夫にはないものですね。

せめて、せめて国旗を一本でも多く倒そうとして苦しみ悶えながら無念の死を遂げるジャミラ。
社会に抹殺された一人の人間ジャミラ。
ジャミラのどうしようもない無念さ、イデ隊員の人間としての素直な感情は、心に深く訴えかけてきます。

一時期、会社から帰った夜中に、本作や「怪獣使いと少年」をサカナに一杯やりながら、涙したものです。
かめ吉
2007年01月08日 17:00
>安部義豊さま
実相寺さんもやはりこれが最高だったと晩年、述懐してましたねえ。

地球人に裏切られ宇宙怪獣として葬り去られる地球人とその地球人を守る宇宙人。

逆転の視点が佐々木・実相寺コンビの真骨頂ですね。
怪獣好き
2015年08月06日 12:37
普段は明るいムードメーカーのイデ隊員も、やはり人の子。一度落ち込むと、内面の脆さ、メンタル面においての弱さが出てしまいますね。最も人間らしいと思います。そこがイデ隊員の優しさであり、彼の魅力の1つと思います。またこの後のウー戦やジェロニモン戦でも同じ事が言えますね。さて今回のジャミラ様(一応、我々の先輩の地球人として敬称で)、水がお苦手という事でしたが、例えば復讐心無しでただ故郷の地球に帰還されたかったとしても、どうやってジャミラ様は地球で生活をなさるおつもりだったのでしょうか?雨の日・台風の日・冬場の雪の日(多分、寒さにも弱いのかな?)。疑問に思ってしまいました。また地球への復讐が完了なされたとして、その後また御自分の星にお帰りになられるおつもりだったのでしょうか?つまらない疑問が沸いてきました。       
初代ウルトラマンとは同い年
2018年10月12日 22:15
『ウルトラマン』全39話中ベスト5に入る名作。

『偽善者はいつもこうだ!文句だけは美しいけれど…』や、『ジャミラてめえ、人間らしい心は亡くしちまったのかよー!』というイデの名ゼリフも視聴者の心に残る。

宇宙開発による人類発展の美名の陰で犠牲になった悲しき宇宙飛行士ジャミラの物語。
『ウルトラマン研究読本』の出演者インタビューでも、桜井浩子氏が一番好きな話と答えられていました。

昔の番組はこういうヒーロー物でも、成功の陰には必ず犠牲を払うんだよ、のような『教育的』な側面があったように思います。
もちろん、見ている方は放送当時子どもなので、難しいことはわかりませんでしたが。

この記事へのトラックバック